MAROONのなんでも diary

MAROONの身の回りの諸々を雑多に書き連ねている日記です。(はてな日記からの移行です)

『ミルクの中のイワナ』 15:35


アップリンク京都 Screen3にて。

2023年日本映画。
監督:坂本麻人

人里離れた河川に生息するイワナは、その生態にいまだに謎が多いことから「神秘の魚」といわれ、多くの人々を魅了してきた。
しかし、その棲息環境は危機に瀕している。その危機に対する様々な人々の活動をインタビューしたドキュメンタリーです。
やはり、稚魚放流は固有種の消滅に繋がる上に、生息数の増加に繋がっていないという見解もあるようで、効果については疑問のようです。
養殖種を放流するとその河川の棲息環境に合わせて進化してきた特徴を持たないので、放流されても長く生き残れない可能性が高いのだとか。
しかし、漁協は法の定めにより、個体数増加のための活動を義務付けられていて、それが稚魚放流なんですね。
やはり、役人が机の上で考えたことはダメな場合が多いですよ。個体数増加のための活動は必要だと思いますが、稚魚放流がいいのかどうかは十分に調べられていないそうです。
【余談】これに限らず、地域のニュースなどで様々な稚魚の放流が紹介されていますが、以前ニュースで環境破壊になるからと放流反対の声が上がって、中止になった際、「子供たちが楽しみにしていたのに」なんて声が紹介されていました。でも、それは手段と目的を混同しているなと思いましたよ。
【余談2】本作のタイトルの意味が不明でしたが、調べたところ、ヘンリー・デヴィッド・ソローという人物の手記に、川の水で牛乳を薄める悪徳業者へ状況証拠を強く示す言葉として記述されているそうです。
“Some circumstantial evidence is very strong, as when you find a trout in the milk,”
「状況証拠というものは、牛乳の中に鱒を見つけたように、非常に強力なものだ」
また、ラストに出たテロップでも紹介されていましたが、コナン・ドイルの著作(シャーロック・ホームズの冒険)でも引用されていたようで、「ミルクの中のイワナ ( A Trout in the Milk)」=「状況証拠しかないが、問題が存在することは、明白である」という比喩表現としても使われてきたそうです。