![辰巳屋疑獄 (ちくま文庫) 辰巳屋疑獄 (ちくま文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51f-9OnGOiL._SL160_.jpg)
- 作者: 松井今朝子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/09/10
- メディア: 文庫
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江戸時代に大坂でも屈指の炭問屋・辰巳屋の家督を巡って大坂町奉行所への訴訟沙汰となり、いったんは決着したものの改めて江戸の評定所に訴え出た結果、大規模な贈収賄事件に発展した「辰巳屋騒動」を題材にした小説です。
大坂近郊の吹田村の百姓家から奉公に上がった元助の視点から見た事件を描いていますが、序盤は当時の商家の様子などに関する記述もあり、面白かったです。
訴訟の方は煙たがられて町奉行から寺社奉行に昇進(形式上、実は閑職)していた大岡忠相が評定衆筆頭として出てきますが、最後は諸々の圧力により首謀者を軽罪で済ませてしまうということで忠相にとっては残念な結末でした。ただ、大坂商人たちは役人にお礼を差し上げる(贈賄)に関してまるで罪悪感が無かったようですね。このあたりは江戸の忠相らとの価値観の違いも面白いところです。