よくある戦国時代を舞台にした仮想戦記ものです。全４巻で完結だそうですが・・・これははっきり言って「未完」でしょう。確かに作者の言うように上杉謙信とその配下の小島彌太郎およびその同僚の遺児たちを中心に据えた物語にはなっています。なので、謙信と彌太郎が死んだら、物語は終わりというのにも一理あります。
しかし！物語の中では武田家の跡取・信勝が朝廷から鎮守府将軍を授けられて奥州制圧をおこなっている間に武田勝頼は謙信との抗争で敗死してしまいます。一方、謙信は本能寺の変から免れた信長との戦いで陣没し、その跡目争いでは名目上の後継者に推戴された幼少の嫡子を押しのけて景勝と景虎が争い、景勝が嫡子を沼田に攻めて小島彌太郎が戦死。さらに真田昌幸の仲介で信勝を含めた三者同盟を結んで織田信長に対抗する。という状況下で話を打ちきられたら腹が立ちますね。沼田城から落ち延びた謙信の嫡子の生死も不明ですし・・・。
著者も後書きで奥州制圧譚まで話を広げすぎたと反省していましたが、これだけ大風呂敷を広げておいて、ハイ終了では金返せ！と言いたくなります。どういう事情で打ちきられた(?)のかは分かりませんが、もう少し話のケリをつけてから終わってほしいものです。
